KOMWORK
第十七章 鈍輔とアザラザ
=====サンクの書=====
トキは交わる。各々の覚悟がいるだろう。
荷個茶ン大王
何もありもしないはずの空宙に、世界が映し出される・・・
Ninjin
力の引かれる地。
力は混ざり合い、時に激しく時に力強く。
渦巻く力は空間さえもねじまげる。
その地、アザラザ。
力あるものを引きつけ、
力あるものが互いに共鳴し・・
鈍輔きっと彼もその一人なのだろう。
それは逃れられない運命。
この空間、鈍輔。
あなたにこの空間が見えているわけ・・。
それはあなた自身がわかっていること。
心を解き放ちなさい。
さあ!!
荷個茶ン大王
「・・・いやだ
いやだっ!いやだっ!!
どおしてオレでなきゃいけないんだよっ」
『そのことは、ここに呼ぶ前に貴方に言ったはずです。』
激しい鼓動と息使いが鼓膜を打ち震わす。
『この世界で私を除いて、貴方だけがこの本を開けるからだと・・・』
「そんなことが理由になるかよ・・・」
淡々といわれる一方で、涙声になる鈍輔にはアザラザの真意がつかめない。
アザラザは間を置いた後、意を決して語り始める。
『この世界は一つの運命の輪・・・輪廻に縛られた世界。
レイの呪いで幾度も同じ結末を繰り返し、行われる世界』
「うんめい」
途方もない言葉に戸惑いの色が隠せない
『そうです。貴方がどこまで本を読んだかはわかりませんが、
わたし・・・いえっ、私達はレイ達によって・・・っ。』
「・・・やられたのか」
『・・・レイは私の魂だけはこの世界に留まらせました。
幾度も凄惨な光景を見せつけるためだけに』
「それでオマエが最初なのか・・・?」
アザラザはうなずき返す
『そして本に描かれている事は過去でも未来でもあるのです・・・
私は長く霊体であるうちにきずき始めた事がありました。
それは貴方のように個人に接触できると。
そのことで世界全体を造り変える力はなくとも、きっかけを作ることができる。
そしてこのサンクの書は錬金術師に作らせた物』
「それで・・・なんでオレがそいつを開けたからってオマエに呼び出されんだよ」
『明けるための条件を作らせたから、恭介の力を継いだ者だけが読めるようにしたから』
「・・・・・・はぁ?」
『貴方が恭介の血と力を継いだ者だから呼んだのです.』
荷個茶ン大王
貴方達は・・・
「そう、貴方達は血で結ばれているのです。」
『・・・それって家族とか、そういう関係って事?』
「貴方は恭介の子孫になります」
・・・・・・・・・
長い沈黙が奇妙な間をうみだす。
その間に耐え切れず、堰を切ったかのように捲くし立てる。
「ぅぬがぁぁ~っ!!なんじゃそりゃっ?!仮にオレが子孫だとして、何で息子や孫じゃいけないんだよ』
「そうですね。本来なら子が父の意思を継ぐ者なのかも知れません。しかし意思だけではどうにもならない現状が今を生み続けているのです。だからこそサンクの書が在るのです。力を継ぐものを定めるために」
『それで結局オレしかいなかった訳?』
「そうです」
どこか淡々としているアザラザにペースを狂わされてはいるが物事を冷静に整理している。そして一つ妥協点を見出す・・・
『ぅぅう・・・っ。わかったよ!その辺りは納得してやるよ。でもなっ、歴史がくり返されてるならレイの存在はどう説明すんだヨッ。レイは世界を凍らすといってた。ならなんでオレがいま存在するんだよ』
「・・・レイは私に呪をかけた時、大きな魔法の衝動によって我が身にも呪がかかってしまったのです。その呪は、胎児の時から私に呪をかけた時の時間を延々と繰り返すっといった物です。だからこそ世界は安定を取り戻し、貴方は生まれ平和になった・・・かのように思えるのです。」
『だけどレイの呪はいき続けてる。だから歴史は繰り返される・・・』
「そのとうりです。だからこそ貴方には、今いるレイが呪をかける前に恭介達と戦って欲しいのです。選択は貴方自身に任せます。ダメな時は素子と供に元の時代に、お返しします」
『・・・それでまたアンタは次のオレと逢うまでの間苦しむ事になるのか・・・』
アザラザはあごを引き、顔を隠すような仕草をする。
少しかすれた声で、・・・しかし冷静さと厳格な所は失われていない・・・話し始める
「なれています。わたしは既に何人もの貴方と対話をしてきました」
そんな仕草を見逃すほど鈍くはない
『ダメだ・・・駄目だっ・・・駄目だよっ!そんなことにナレチャ・・・・・・』
「・・・」
『オレには恭介の血と力がつがれってんだろ。オレがアンタを救ってやるよっ』
決意と受け取れる声に、応えるように面を上げるアザラザ
「ありがとう。いつの日の貴方もそう言ってくれました」
『あぁ、頼りない英雄とその子孫でなんとかしてやるよ。・・・だから泣くなよ』
しばらくして、またアザラザ一人の静寂の闇に戻る
鈍輔は、祈るように名前を呼びつづける素子の腕の中に帰っていった
目を覚ましたとき一振りの剣をにぎり閉めていることに気づく・・・









