KOMWORK

第十八章 目覚める鈍輔

=====サンクの書=====

目覚めなさい。あなたをまっている人がいます。

kom

『鈍輔っ!』

素子は水に捕われた鈍輔に必死に呼び掛ける。
どんぐりはその光景をただただ見つめるだけだ。
少しばかり悔しそうな顔をしている。

『起きて鈍輔っ!お願いだから......鈍輔』

鈍輔は波紋の中心にずるずると身を引き寄せられていることに
気づいているのだろうか。
素子・・彼女もきっと
波紋の中心に近いところにいることになるんだろうな。

Ninjin

「あぁ~頭がぼぉーとする。そんなに飲んだくれってっかオレ?」
うひぃっ。昼間っから酒場で眠りこける英雄、恭介。

人の気配を感じ飛び起きる。
冷たく陶器のように艶やかな感触。

「姉ちゃん。誘惑してんの?」
恭介はべろんべろんに酔ってます。
す~り......す~り。
酔ってます。酔ってます。
ベタに酔いまくりの恭介!
すべすべの感触のはずが、意識が戻るにつれ徐々ににごわごわな
剛毛?.........
『きしょいわぁ~~~~このやろぉぉぉ!!!!』
へべれけ恭介に喝を入れるおっさん、ガル大佐。

kom

「ガル大佐だっけ?あんたもそうとうしつこいな。」
「わしは、決してお前のことを諦めたりはせんぞ!!
アザラザを救うためにはお前の力が必要なのだ」
「?...どうしてそんなにオレこだわるんだよ。
火炎龍の出現に数々の異変。この街に迫る不穏な影が
あることは確かだと思う。しかしだ、
勇士ってやつはよこのアザラザの国に吐き捨てるほど
いるじゃねぇか!」
「お前は感じないのか??
おまえに向けられる数々の羨望の瞳。
期待。わしはお前に希望というものを
感じずにはいられないのだよ。」
「こんな飲んだくれ英雄にか?
.....................ありえねぇ~。
英雄ですらありえねぇよオレは。」

その場から去ろうとする恭介。

そんなトキ酒場の空気が揺れた。
人々はざわめきはじめる。
何が?何が起こったというのか?
または何が起きはじめようとしているのか?

恭介は人込みをかき分けることをあきらめ
くうを舞った。テーブルの区切り梁を
ザカザカと走っていく。そして
いち早く酒場の出口に辿り着いた。

Ninjin

郵便局のお姉さんが川原に現れた。
その背後に一つの影・・も、もしかして危ない!?

「こんにちわ」
「あ、待ちました?」
男はなんと、磯野小太郎・・。
二人は川原で待ち合わせ!?

と思いきや磯の小太郎は腰の晒しから包丁を取り出し、
「はー!」掛け声ともども
包丁を振り回しまじめた。

パラパラ・・
空中に紙辺が踊る。
「新作です。」

落ちてきた紙のかけらを郵便局のお姉さんに
手渡す。
紙はチューリップの形に切り取られていた。

「さすがですわ。
あなたなら私のお母さんを助けることができるかも」
「お母さん!?」
「そう・・今は氷の柱に閉じ込められている・・」

kom

恭介は自分の目を疑う。

騒ぎの中心には包丁を振りかざす磯野小太郎がいたのだ。
彼の華麗な包丁さばきからあれよあれよと肉吹雪が舞う。
お肉やのおばちゃんも舞い散る華に心を奪われたご様子。
「はぁー!」
女性の喜ぶ見目麗しい造型をした花々、肉刺が浮かび上がる。小太郎が「郵便局のお姉さん」を思う心が彼の潜在能力を呼び覚ましたのだろうか?信じられない勢いで次々と傑作を生みだしている。
「小太郎ちゃん豚肉500gちょうだい!!」
「今日は奮発して松坂牛のカレーにするわっ」
「あなたその肉の使い方邪道よ。」
「小太郎ちゃーん」
女性たちはぎゃいのぎゃいの。
肉屋のおばちゃんはうはうは。

...なんですかこの光景?
しばし己の目を疑う恭介だった。

ぼーとその光景を眺める恭介。
「あついぜ磯野小太郎...」
刀をかたてに肉を斬る磯野小太郎。
ひたいには輝く玉の汗。
一段落ついたのか汗をぬぐう磯野小太郎。
「いかんいかん。おれなんで磯野小太郎ウォッチなんてしてんだよっ。でもいい面してんじゃねーかよ磯野小太郎。はっはっは。」

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